eSIMとSIMの違いとは?auでの設定方法も合わせて徹底解説

通信端末であるスマートフォンを利用するのに欠かすことができない「SIM」。
カード形態のSIMをスマートフォンに挿入して利用するものと認識している方が多いでしょう。
昨今では、SIMカードとは別に「eSIM」と呼ばれるSIM規格が登場しています。
この記事では、次世代のSIM規格である「eSIM」についての情報を紹介します。
eSIMとSIMの違いや、eSIMを利用する際のメリットなどを確認しましょう。
また、auでのeSIM設定方法も解説していますので、現在au回線を使用している人はぜひ参考にしてみてください。
Contents
eSIMとは「embedded SIM」の略
eSIMは、「embedded SIM」の略です。embeddedは、「埋め込み」の意味を持ちます。
埋め込み型のSIM規格とは、通常のSIMとどのような違いがあるのか確認しましょう。
eSIMとSIMの違い
「SIM」は一般的にSIMカードと呼ばれるもので通信機器(スマホやタブレット)に挿入されているカードのこと。
SIMカードには電話番号やキャリアの契約プラン情報などが書き込まれていて、持ち主・使用者(ユーザー名)を明確にしています。
そうすることによって、契約しているプランをスマホで利用できるのです。SIMカードはスマホのようなデータ通信サービスには欠かせません。
「eSIM」は、埋め込みタイプのSIMのことを指します。通信機器本体にSIMカードが組み込まれているため、SIMカードの取り外しの必要がありません。
SIMの場合、キャリア(携帯電話事業者)を変えるときSIMカードを差し替える必要がありますが、eSIMは「通信経由」で情報を書き換えて契約先を変えることが可能です。
eSIMを利用することで、利用者は以前よりも手軽に契約先やモバイル通信サービスのプラン内容を変更することができます。
eSIMを使うメリット
今後の展開が期待されている「eSIM」は、スマホ利用者に嬉しいメリットを与えてくれます。
「eSIM」を使用することでどのようなメリットが得られるのかを確認しましょう。
アナログ的な手順が省ける
これまで携帯電話の機種変更やMNP(ナンバーポータビリティ)、海外旅行のときはSIMカードを入れ替える必要がありました。
特に海外旅行では、現地のSIMを挿入している間に日本のSIMカードを紛失してしまうなどのトラブルが起きることも少なくありません。
物理SIMとは異なり、eSIMはSIMの入れ替えを必要としません。
SIMトレイを引き出してカードを挿入したり、SIMカード取り出しツールなどの小さな道具を携帯したりするといったアナログ的な手順を省くことができるのです。
これにより、入れ替えによる手間、SIMカードの紛失問題がなくなります。これは利用者にとって大きなメリットでしょう。
海外などで日本のキャリアプランより割安なモバイルデータが簡単に利用できる
eSIMは、利用者自身で「携帯電話の情報を書き換える」ことが可能です。
自分で情報の上書きができるため、自宅や出先でのキャリア変更を手軽に行なうことができます。
海外旅行では、すぐに現地のモバイルデータ通信(モバイル回線)を利用設定することも可能です。
日本のキャリアプランよりも他社の割安なモバイル通信プランを利用できますし、現地のSIMを購入する必要もありません。
各国の通信事業者の回線を利用できるという点は、海外に行く機会が多い方にとって魅力的なメリットといえるでしょう。
他にも、モバイル回線を二重化できるというメリットもあります。
eSIM対応モデルのデバイスのほとんどが通常のSIMカードスロットも搭載していて、それぞれに異なる回線契約情報を持たせることができます。
つまり、1台のeSIM対応端末で異なる携帯電話会社の回線を2つ併用することが可能なのです。
そのため、たとえば通常のSIMカードの方はキャリアのNTTドコモと契約し、eSIMの方は格安SIMのUQモバイルと契約するということもできます。
モバイルネットワークを二重化できれば通信障害にも対応できるなどのメリットがあります。
通信チェックの時点で問題がなくても、何かしらが原因でネットが接続できないことも考えられます。
そんなときはモバイル回線の二重化は重宝するでしょう。
ただ、eSIMプロファイルを削除すると、再発行が必要になってしまう可能性もあるので使い方には注意が必要です。
auでのeSIM設定方法と対象機種
eSIMは対応している機種とそうでない機種があります。eSIM対応の機種と、auでeSIMを利用する際の設定方法を確認していきましょう。
au携帯電話を使っているユーザーは必見です。
対象機種
eSIM契約ができるiPhone機種は以下の表のとおりです。
auを含め、各キャリアで販売されているiPhoneも、SIMフリー端末のiPhoneも、以下のモデルであればeSIMに対応しています。
対象機種 |
iPhone XS |
iPhone XS Max |
iPhone XR |
iPhone11 |
iPad Pro |
iPhone 11 Pro Max |
iPhone SE(第2世代) |
iPhone 12 mini |
iPhone 12 |
iPhone 12 Pro |
iPhone 12 Pro Max |
これまではiPhone対応のみでしたが、2018年の冬に登場した「iPad Pro 11インチ」をはじめ、多くのiPadがeSIM対応となりました。
iPhoneは、iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR 以降はeSIMに対応しています。
Androidスマホは現在「Google Pixel 5」のみですが、eSIM対応機種がぞくぞくと発売予定です。
eSIMは最新スマホ向けの機能でもあり、auブランドなどの大手キャリアはもちろんですが、ワイモバイルなどの各MVNOもeSIMのサービス開始を行っています。
つまり、eSIMはこれから当たり前になってくるかもしれない機能のひとつなのです。
eSIMを利用する前にまずはSIMロックの解除
Appleの店舗やオンラインショップで販売されているiPhoneは、SIMロックが掛かっていないSIMフリー版のiPhoneです。
そのため、ロック解除を行う必要はなくそのままeSIM利用ができます。
しかし、auやドコモ、ソフトバンクなどの大手キャリアで購入したデバイスはSIMロックフリー端末ではありません。
まず「SIMロック解除」を行なわなければ、SIMフリー版eSIMを利用することができないのです。
また、デバイス購入の支払い方法によってはすぐにSIMロック解除を行うことができない場合もあります。
端末価格を「一括購入」で支払っている場合は、購入してからすぐにロック解除の手続きを行うことが可能です。
しかし、「分割払い」で支払いを行う場合は、原則「101日目」以降でないとSIMロック解除を行うことができません。
携帯電話機を購入する際は、一般的に大手通信会社で新規契約や機種変更を行う形で分割で手に入れる場合が多い傾向にあります。その方がSIMフリー端末価格よりもお得に手に入れることができるのでお得感があるからです。
お得に端末を手に入れる代わりにSIMロック解除ができないという縛りがあるのです。
SIMロック解除の手続きを行うときは、自分の持っているeSIM対応機種が、すぐにロック解除を行える状態か確認する必要があるでしょう。
SIMロック解除対象機種であれば、auは「au ショップ」か「My au」で手続きを行うことができます。
「auショップ」で手続きを行うときは、SIMロック解除を行いたい対応機種と、本人確認書類、そして手数料の3,000円が必要になります。
あとはスタッフに任せれば、問題なくSIMロックの解除は完了するでしょう。
「My au」で手続きを行うときは、まずMy auにログインする必要があります。
au IDとパスワードを入力して(二段階認証タイプの場合もあります)、SIMロック解除手続きのページへアクセスします。
暗証番号を入力すると、購入日や機種名を確認するページが表示されます。間違いがないかを確認したら、「次へ」をタップしましょう。
最後に、SIMロック解除を行う理由を選択肢の中から選んで「この内容から申し込む」を選択すれば、申し込み手続きは完了です。
データのバックアップなどをとって、通信機器の初期化を行うことでSIMロック解除は完了となります。
ドコモeSIMカードを利用したい方は、公式サイトをチェックしてみてください。
設定方法はeSIMを利用するキャリアによって「QRコード」か「App」を選ぶ
上記の手順でSIMロックの解除を行ったら、eSIMに情報の「書き込み」を行っていきます。書き込む方法は2種類あり、キャリアによって方法は変わります。
1つ目は、キャリアが用意した「QRコード」を読み取って書き込む方法。
2つ目は、「専用アプリのインストール」を行うことで書き込む方法です。
それぞれの書き込み方法を確認していきましょう。
「QRコードの場合」
手元にキャリアが提供したQRコードがあるという方は、下記の手順で設定を行います。
① 「設定アプリ」を開きます。
② 「モバイル通信」か「モバイルデータ通信」をタップで選択します。
③ 「モバイル通信プランを追加」をタップで選択します。
④ QRコードを読み取るカメラが表示されるので、QRコードを読み取りましょう。
このとき、eSIMをアクティベートするための「確認コード」の入力を求められたらキャリアから支給された番号を入力しましょう。
「App」の場合
App Storeから、通信事業者の「専用App」をダウンロードすることでeSIMの書き込みを行うことができます。下記の手順で設定を行いましょう。
① App Storeを開き、通信事業者の「専用App」をダウンロード。
② ダウンロードしたAppで、モバイル通信プランを購入しましょう。
③アカウントを作成し、支払方法の設定・プランを購入・eSIM情報をダウンロード。
④対象地域に到着後、現地ネットワークへの接続により自動で利用開始。
Appの検索は、「eSIM」というワードで検索するとヒットします。「GigSky」か「T-mobile」の専用Appが出てくるでしょう。
もしeSIM対応キャリアが事前に分かっている場合は直接キャリア名で検索してもいいでしょう。
専用アプリで、事前に利用期間とデータ量を決めてプラン購入できるので追加料金が発生することはありません。
どちらかの手段で、利用したいeSIMサービス(通信キャリア)の情報の書き込みを行って下さい。上記で紹介した対応機種では、nano-SIMとeSIMの2つを利用した「デュアルSIM」にも対応しています。
デュアルSIMでは、音声通話プラン(音声SIM)とデータプランを使い分けることができたり、仕事用とプライベート用の電話番号を1つの端末で2つ持ち、好きなときに切り替えたりすることが可能です。
au/iPhoneXSの実例
ここまでの手順を踏まえて、画面キャプチャを交えておさらいです。
eSIMを利用するにあたり忘れてはいけないSIMロック解除。解除を忘れてしまうとQRコードを読み込めずエラーとなります。
SIMロック解除後にQRコードを読み込むことでデータ通信設定画面に移ることができ、副回線へ登録可能となります。
今回登録したキャリアは香港「3」(3HK)で米国(ハワイ)で実際に利用できる通信ブランドです。
eSIM登録完了後はアンテナの表示が2段に分かれ、主回線(Primary)と副回線(Secondary)のアンテナ状況が確認できます。
比較する為、現地キャリアで試してみると利用したUSA T-Mobileは3HKが推奨する米国ローミングキャリアではないため、スピードテストの結果も悪い結果でした。
副回線のネットワークサーチで3HKが推奨するAT&Tを選択し、通信テストを行うと満足の行く通信速度を確認。
DOWNLOADで約85倍、UPLOADで約4.7倍と明らかな違いが見られました。
その後AT&Tへ設定後に実際に機器と接続を行いテザリングテスト(アンテナが青く変化)をすると、快適に通信ができることを確認しました。
eSIMはまだまだ発展途上
eSIMはまだ発展途上の段階ですが、今後より便利なものとなっていくでしょう。対応の携帯電話はiPhoneに加えAndroid端末も登場し、eSIMサービス対応サポートはどんどん進められています。
また、格安SIMを提供する「MVNO」でも、eSIM対応の準備が進められています。
格安スマホ「IIJ」は、2019年の春にeSIMのサービス化を発表し、データ通信専用SIM eSIMプラン(ベータ版)を登場させました。
IIJmio eSIMプランは、モバイルデータ通信用のデータSIM専用プランのみですが、今月分の余ったモバイルデータ通信量は翌月に繰越すことができるので、残ったデータ容量を無駄なく使えます。
気になった方はeSIM公式サイトをチェックしてみてください。
「基本プラン料1年間無料」のCMでお馴染みの楽天モバイルは、楽天モバイルeSIM対応製品「Rakuten Mini」を発売。楽天モバイル契約者にはうれしいニュースとなりました。
開始当初の対象エリアは、北米・ハワイのみでしたが、今ではアメリカやオーストラリア、ニュージーランドなど96の対象国・地域へ拡大しました。
iPhone・Android向けのサービスで、海外に長期滞在のときでもお得に海外のデータ通信を利用することができます。
eSIMを活用したeSIM用料金プランも今後増えていくでしょう。
現代では、フルMVNOを活用するなどスマホの利用方法が増えてきています。データ通信用eSIMサービスも、きっと数年後には主流になるでしょう。
モバイルデータ通信プランを自分に最適なものにすれば、eSIMも使い方次第では、月に掛かる支払い目安が減り利用料金を抑えることも可能です。
タイミングがよければ、eSIMプラン限定のキャンペーンを使ってお得に活用することもできるかもしれません。
通常プランや通信データサービスを自分なりに上手く利用していきましょう。