日本国内でeSIM対応プランを提供するキャリア・MVNOはある?

スマホに必要不可欠なSIMカード。このSIMカードから進化したのがeSIMです。
eSIMはとても便利な存在ですが、日本ではまだまだ知られていません。
では、eSIMとはどんなものなのでしょうか。
日本でeSIMに対応したプランを提供するキャリアやMVNOがあるのかも詳しく解説します。
eSIMにしてみたい人もeSIMについてまったく知らない人も、ぜひ参考にしてください。
Contents
SIMカード不要?eSIMの実力とは
まずはeSIMについて詳しくご説明します。
これまでのSIMカードといえば、標準・マイクロ・ナノの3つのサイズが一般的でした。このSIMカードを端末のSIMスロットに差し込むことで、SIMカードに登録されている情報を端末が読み取り、契約したキャリアのプランによってスマホを扱えます。
SIMカードから進化したeSIMは従来のSIMカードの概念を大きく変えました。
eSIMは、わざわざSIMカードを差し替える必要がないのです。
元々デバイスに埋め込まれている埋め込み型や、遠隔操作によってSIMカードの情報を書き換えることができるリモート型などがあります。
リモート型はさらに2つに分類され、通信プロファイルを提供事業者が変更するか、ユーザー自身でプロファイルを変更するかで分けられています。
もちろんSIMカードからeSIMへ進化したからといって、スマホの機能が変わるわけではありません。
あくまでSIMが変わるだけなので、これまで通りの操作性でスマホを自由に扱えます。
物理SIMではなくなることで店舗でSIMカードを受け取る必要がなくなります。
QRコードを読み取ったり、対応キャリアのアプリをダウンロードすることでキャリア変更も自由に行えるようになります。
モバイル業界でも話題になっており、消費者にとってメリットが非常に大きい画期的なシステムといえるでしょう。
eSIMのメリット
eSIMは進化したSIMということもあり、従来のSIMカードにはないメリットがあります。
ここでは、そのメリットについて見ていきましょう。
アナログ的な作業が必要ない
従来のSIMカードといえば、SIMカードを店舗で受け取ってからようやくスマホが使えるシステムでした。
キャリア変更をする場合は、変更先のキャリアの店舗に出向き、SIMカードリーダーという機器に差し込んで情報を書き換える必要があったのです。
機種変更では、スマホが変わるたびに小さなSIMカードを入れ替える手間や、SIMカード紛失の心配もありました。
eSIMは遠隔操作によってSIMの携帯電話情報を書き換えることができるため、店舗に出向いたり、SIMカードを入れ替えたりするなどの手間がありません。電話番号もそのまま使えます。
これまでアナログ的に行っていた作業が、簡単にできるようになったことは大きなメリットです。
公私の使い分けが1台できる
仕事用とプライベート用のスマホを持っているという人も少なくないでしょう。
そのような人は常に2台の端末を持ち歩くことになるため、少し面倒ですよね。
iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XRは、デュアルSIM対応に加え、eSIM対応端末です。公私の使い分けが簡単にできるようになります。
デュアルSIMは2つのSIMカードを1つの端末に差し込むものです。
仕事用のSIMを1枚、プライベート用のSIMを1枚差し込んでおけば、1台のスマホでどちらも対応できるようになります。
1枚をnanoSIMに、もう1枚をeSIMにすれば1枚のSIMカードを差し込むだけで使えます。
プライベートだけであれば、1つは音声プランのみ、もう1つは通信プランのみのSIMを選択することも可能です。どちらかをMVNOの独自サービス型SIMにしておけば電話料金も通信料金も安く済むものを選択できます。
音声プラン・モバイルデータ通信プランどちらも安い格安SIM情報をチェックしておきましょう。
海外でプリペイドSIMに買い替える必要がなくなる
スマホの契約プランは音声プランと通信プランがあり、音声プランは海外でも問題なく使える仕様になっています。
しかし、通信プランの方は海外では使えないため、渡航先のキャリアのプリペイドSIMを購入する必要がありました。
eSIMにすることで、渡航先のキャリアと契約し、情報をダウンロードすればモバイル通信サービスが使えるようになります。
プリペイドSIMを買わずともメールやネットが利用できるのです。
海外の大手キャリアのeSIMサービスを受ける場合は、SIMフリー版のスマホを持っておく必要があります。
SIMフリーであればロック解除の手間なくすぐに使えます。
現在、日本国内でeSIM対応プランを提供するキャリア・MVNOはない
eSIMはとても便利なSIMであるものの、まだ日本国内ではeSIM対応プランを提供しているキャリア・MVNOはありません。
eSIMが普及することによってキャリア間の移動が簡単にできるようになり、ユーザーの維持が難しくなります。
そのため、日本のキャリアとMVNOはeSIMの普及に消極的なのです。
ただ日本で発売されている新型iPhone(iPhone XSiPhone XS Max iPhone XR)のバージョンiOS12.1はeSIMに対応しています。
ただ、大手キャリアのドコモではカードeSIM端末や、法人向けのeSIM端末モデルが販売されているのです。
週刊モバイル通信において、石野純也さんがeSIMを使ってスマホを安く利用する記事を書いています。
今後ドコモ・au・ソフトバンクでeSIM対応プランが展開されたら、こちらの記事を参考に月々の料金を安くすることが期待できます。
契約数が増加している格安SIMを提供する「MVNO」。そのMVNO委員会でもeSIMが議論に上がっていますし、フルMVNOのIIJではどこよりも先にeSIMの実証実験を行っています。
つまり、IIJからもeSIM対応端末が出てくる可能性は十分ありえるでしょう。
この他にもNTTコムがeSIMを活用したIoT向けサービスを展開するなど、各企業でさまざまな動きがあります。
ちなみにフルMVNOとは、ドコモやauなどの大手キャリアに回線を借りるのではなく、自社の回線を利用している格安スマホのことです。
対応端末が続々と出てくることで、今後eSIM対応プランができる可能性もあります。
国外でeSIMプランを提供しているキャリア一覧
日本では普及が遅れているものの、世界各国ではすでにeSIM対応プランを展開している通信事業者が多く存在します。
ここで国別のキャリアを紹介しましょう。
【国名】 |
キャリア |
【アメリカ】 |
・AT&T ・T-Mobile USA ・Verizon Wireless |
【オーストリア】 |
・T-Mobile |
【カナダ】 |
・Bell ・Fido ・Lucky Mobile ・Rogers ・Virgin |
【イギリス】 |
・EE |
【ドイツ】 |
・O2 ・Telekom ・Vodafone |
【台湾】 |
・APT |
【ノルウェー】 |
・Telenor |
【カタール】 |
・Ooredoo ・Vodafone |
【ポーランド】 |
・Orange |
【クロアチア】 |
・Hrvatski Telekom |
【シンガポール】 |
・M1 |
【チェコ共和国】 |
・T-Mobile |
【スペイン】 |
・Movistar ・Orange ・Vodafone Spain |
【デンマーク】 |
・3 |
【エストニア】 |
・Telia |
【スウェーデン】 |
・3 ・Tele2 |
【フィンランド】 |
・Telia |
【スイス】 |
・Sunrise ・Swisscom |
【香港】 |
・1O1O ・3 ・csl ・China Mobile Hong Kong ・SmarTone |
【タイ】 |
・AIS ・dtac ・True Move H |
【ハンガリー】 |
・Magyar Telekom |
【アラブ首長国連邦】 |
・du ・Etisalat ・Virgin Mobile |
【インド】 |
・Airtel ・Reliance Jio |
【クウェート】 |
・Ooredoo |
世界の24の国でeSIM対応プランを提供するキャリアがあります。eSIM対応端末を持って海外旅行に行くのであれば、渡航先のキャリアとモバイル通信プランを契約することができます。
SIMカードのようにプリベイトSIMを購入する必要もありませんので、国外で便利にネット環境を楽しめるようになります。
一点注意しておきたいのがSIMロック解除をしておかなければならないということです。
SIMロックを解除しておかなければすぐに使えないため、渡航前に通信キャリアで必ずロックを外しておいてください。
今後、日本で提供されるようになる可能性も
日本ではeSIM対応プランは展開されていないものの、eSIMに対応した端末はいくつか発売されています。
世界各国でも普及が進んでいるので、今後日本でeSIM対応プランが提供される可能性はあるでしょう。
技術が進み、eSIM対応端末がさらに増えれば、iPhoneユーザーだけでなくandroidユーザーもeSIMに変えることができるかもしれません。
海外旅行によく行く場合は、渡航先にeSIM対応プランを展開するキャリアがあるかを確認しておきましょう。
キャリアがあれば海外でも気軽にメールやネットを楽しめるようになります。